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熱機械測定装置(TMA)

Q400型は熱分析における世界のリーダーからの6世代目製品です。弊社の長い経験から生まれた技術をフルに活用してデザインされた装置で性能、容易な操作、信頼性は他に類を見ないほど優れており、広範囲な温度領域で高感度に機械特性を測定します。

TAイノベーション

世界で初のTMA開発
自動プローブキャリブレーション
モジュレイテッドTMA™
TMAプログラムフォースモードでエレクトロニクスアプリケーション
応力/歪み、クリープ、応力緩和、ダイナミックモード測定

技術仕様

Q800

Q400EM型は高性能、リサーチグレード熱機械測定装置(TMA)で、多種多様の測定モード機能を有しています。
スタンダードTMA応用でQ400型と同じ性能と信頼性を持っています。この装置は研究用、品質管理用等、幅広い応用に適応出来るようにデザインされています。

装置仕様

  Q400EM Q400
温度範囲(最大) -150 〜 1,000℃ -150 〜 1,000℃
温度精度 ± 1℃ ± 1℃
ファーナス冷却時間
(エアークール)
600℃ 〜 50℃まで
<10分以内>
600℃ 〜 50 ℃まで
< 10分以内>
固体 26 mm (L) x 10 mm(D) 26 mm (L) x 10 mm (D)
最大サンプルサイズ -
フィルム/ファイバー
スタティックオペレーション
26 mm (L) x 1.0 mm (T)
x 4.7 mm (W)
ダイナミックオペレーション
x 4.7 mm (W)
26 mm (L) x 1.0 mm (T)
x 4.7 mm (W)
26 mm (L) x .35 mm (T)
測定精度 ± 0.1 % ± 0.1 %
感度 15 nm 1 5 nm
ベースラインドリフト 1 µm (-100 〜 500℃) <1 µm (-100 〜 500℃)
荷重範囲 0.001 〜 2 N 0.001 〜 2 N
荷重分解能 0.001 N 0.001 N
周波数 0.01 〜 2 Hz 不可
マスフローコントロール 標準装備 標準装備
雰囲気
(スタティック又はフロー)
不活性ガス、 酸素
又は反応ガス
不活性ガス、酸素
又は反応ガス
測定モード
スタンダード 標準装備 標準装備
ストレス/ストレイン 標準装備 不可
クリープ 標準装備 不可
応力緩和 標準装備 不可
ダイナミックTMA (DTMA) 標準装備 不可
モジュレイテッドTMA™ (MTMA™) 標準装備 不可

ノート: Q400型はQ400EM型にアップグレード可能。

TMAテクノロジー

機構解説

熱機械測定装置は温度、時間、応力、雰囲気の条件下におけるサンプルの寸法変化を測定する装置です。弊社の長い経験と実績からデザインされたファーナス、温度コントロール方式、寸法変化測定方式、そして雰囲気コントロール方式を装備しているQシリーズTMAは広範囲な応用に適応できる信頼性の高い装置です。

1. ファーナス

Q400型の特徴の1つは頑丈なそして信頼性の高いファーナスです。広温度範囲において優れた昇温速度コントロールをし迅速に反応します。ファーナスはソフトウェアコントロールにより開閉をします。

特徴: 長寿命デザイン。優れた昇温コントロールはベースライン安定性、感度を向上させ、そしてモジュレイテッドTMA測定に対して速いレスポンスを可能にします。

2. サンプルチャンバー

ファーナスの中に設置されるチャンバー内は正確な温度コントロールと完全な雰囲気コントロールが作られています。パージガスはマスフローコントローラーで正確にコントロールされています。

特徴: フレキシブルでデータの質も良く、容易に操作ができ、そして高生産性です。昇温速度コントロールとパージガスはスタンダードモードと温度変調モードの両方でその性能を発揮します。プローブの交換取付けも簡単で(変形モード参照)、サンプルセット、熱電対セットも容易です。データの精度はマスフローコントロールにより更に高くなります。

機構解説

3. フォースモーター

ノンコンタクトモーターは摩擦が小さいのでサンプルへの応力を精度良くコントロールすることが出来ます。応力はプログラム可能で0.001〜1 N、そしてスペシャルトレイに分銅を置くことによって更に2N負荷することが可能です。ダイナミック測定は多種の周波数をセットして精度の高いサイン波モードで行います。

特徴: 全ての測定モードにおいてモーターはスムーズに作動し、精度の高いスタティックモード、ランプモード、そしてオシレーションモード測定を可能にします。それにより圧縮、3点曲げ、引っ張りモードでのダイナミックTMAデータも信頼性の高い結果になります。

4. リニアーバリアブルディファレンシャルトランスデューサー

Q400型で高精度が可能な理由はリニアーバリアブルディファレンシャルトランスデューサー(LVDT)が採用されているからです。

特徴: 広範囲な温度領域 (-150〜1000 ℃)で信頼性の高い結果が得られます。モーターや検出機構はファーナスの下部に設置されているため、ヒーターの温度の影響によるベースラインドリフトはありません。

変形モード

Q400型には固体、フォーム、フィルム、ファイバー等の測定に必要な多種の変形モードが用意されています。それらには圧縮、引っ張り、3点曲げが含まれています。

圧縮

このモードはサンプルにプログラム温度や雰囲気条件下で、スタティック、リニアーランプ、ダイナミック応力オシレーション等を与えられます。サンプル変位(歪み)は膨張や収縮の情報として記録されます。又、ダイナミックテスト(DTMA)では、粘弾性パラメーターが得られ、そして更に重なり合っている転移の分離も可能になります。(MTMA)

膨張

膨張測定は物質の熱膨張係数(CTE)、ガラス転移温度(Tg)、圧縮モジュラスを測定するものです。スタンダード膨張プローブ(図1)はサンプル(一定の応力が負荷されます)の上に置かれます。そしてサンプルはプログラム温度条件下で測定されます。プローブの動きがサンプルの膨張又は収縮を表します。
このモードは固体サンプルに使用されます。底面の広いマクロ膨張プローブ(図2)は軟らかいサンプル、凹凸のあるサンプル、粉末、フィルム用です。

針入

先端が細いプローブ(図3)は針入測定用です。このモードは正確なTg、軟化点、融解点の測定に適しています。このプローブでサブストラクトからコーティング材を剥がさなくても測定可能です。膨張測定と同じように測定しますが、サンプルへの荷重はより大きくなります。又、球状形プローブ(図4)は固体サンプルのソフトニング測定に便利です。

3点曲げ

曲げ変形(フレキシュアーとして知られている)で、サンプルはクオーツステージ(図5)のエッヂ2点間に置かれます。そしてシャープエッヂ状のクオーツプローブでサンプルの中央を一定の応力で垂直方向に押されます。物質の特性は応力に対してプローブの変位を測定することによって分析出来ます。このモードはクランプによる影響が無いため、真の変形を与えることが出来ます。硬い物質(複合材料等)の曲げ特性測定に適しています。又、Q400EM型でダイナミック(DTMA)測定も可能になります。

引っ張り

フィルムやファイバーのストレス/ストレイン特性測定はフィルム/ファイバープローブアッセンブリー(図6)を使用して可能になります。アラインメントフィクスチャー(図7)が正確な再現性良い測定につながります。クランプされたサンプルはプローブアッセンブリーのサンプルステージとプローブの間にセットされます。そして応力を与えることによってストレス/ストレインやモジュラスの情報が得られます。その他Tg、軟化温度、硬化、クロスリンク密度、そして粘弾性パラメーター(E’, E’’, tand)やオーバーラップ転移の分離が得られるダイナミックテスト(DTMA, MTMA)測定も可能です。

スペシャルプローブ/フィクスチャーキット

スペシャルTMA応用にはQ400型とQ400EM型に使用できるプローブとフィクスチャーが用意されています。次のプローブが含まれています。
ディラトメータープローブキット - 体膨張係数測定
パラレルプレートレオメータ - 一定応力下で物質(10-107Pa.s)の低シアー粘性測定
Q400型には膨張、マクロ膨張、針入プローブが標準付属です。Q400EM型には上記プローブの他にフィクスチャープローブ、ローフリクション曲げフィクスチャーが標準付属です。全てのデータ解析はアドバンテージソフトウェアで行います。

TMAの原理/測定モード

TMAはコントロールされた応力、雰囲気、時間、温度の条件下で物質の寸法変化を測定します。応力はページ76〜77中にあるスペシャルデザインのプローブを使用して圧縮、曲げ、引っ張りモードで与えられます。TMAは本質的な物質の特性(膨張係数、ガラス転移、ヤング率)を測定するものです。又、製品の加工や製造のためのパラメーター(軟化点)も得ることが出来ます。応用範囲は広くQ400型やQ400EM型で精度の高い測定が可能になります。

Q400型とQ400EM型の測定モードは多種多様な物質特性測定を可能にします。Q400型はスタンダードモード測定用で、Q400EM型は更にストレス/ストレイン、クリープ、応力緩和、ダイナミックTMA、モジュレイテッドTMA測定が出来ます。

1&2スタンダードモード (Q400型/Q400EM型)

昇温測定: 応力は一定に保たれ、リニアー昇温条件下での寸法変化測定。
アイソストレイン: 歪みは一定に保たれ、昇温条件下で歪みを一定に保つための応力を測定。フィルム/ファイバー等の収縮応力が得られます。
フォースランプ: 応力は一定速度で変化され、一定温度条件下で歪みを測定。そして応力/変位プロットが得られる。

3 ストレス/ストレインモード(Q400EM)

応力又は歪みが一定速度で変化され、一定温度条件下で歪み又は応力変化を測定する。ストレス/ストレインプロットとモジュラス情報が得られます。更に応力、歪み、温度、時間を関数としてモジュラスを計算することが出来ます。

4 クリープと応力緩和

TMAはトランジェント(クリープ、応力緩和)テストにより粘弾性特性を測定出来ます。それにはQ400EM型が必要です。クリープは一定応力を与えた時の時間を関数としてのサンプルの歪みを測定するものです。応力緩和は一定歪みを与えた時の時間を関数としてのサンプルの応力を測定します。両測定で物質の変形やリカバリー特性の分析が可能になります。データとしてはコンプライアンス(クリープモード)と応力緩和モジュラス(応力緩和モード)が得られます。

5 & 6 ダイナミックTMAモード(Q400EM)

ダイナミックTMA (DTMA)はサイン波状応力とリニアー昇温条件下でサンプル(図5)を測定します。その結果としてサイン波状歪みと周波数フェーズ差(d)が測定されます。(図6a)。このデータから貯蔵弾性率(E’)、損失弾性率(E’’)及びタンデルタ(E’’/ E’)が温度、時間又は応力(図6b)を関数として得られます。この測定は薄いポリマーフィルムの分析に最適です。

7 モジュレイテッドTMA™ (MTMA™ Q400EM)

モジュレイテッドTMAはサンプルをリニアー昇温と振幅と周期を有するサイン波状昇温(図7)との組合せ条件下で測定します。生データをフーリエ変換した後の出力シグナルはトータル変位と熱膨張係数変化になります。そしてリバーシングとノンリバーシングシグナルに分けられます。リバーシングシグナルは寸法変化に起因する現象で、ガラス転移(Tg)検出に役に立ちます。ノンリバーシングシグナルは時間依存性のキネティック(応力緩和)に関係する現象です。このユニークな測定法はQ400EM型で可能になります。

応用

本質と生産特性測定

図1に一定応力、リニアー昇温条件下で合成ゴムのTgと軟化点を膨張プローブ及び針入プローブを用いて測定した結果を示します。膨張プロットにおける大きなCTE変化は転移温度を表しています。針入においては転移は物質構造の変化におけるプローブの鋭い動きがそれを表しています。

図1

正確な熱膨張係数の測定

図2に200℃付近までのアルミニウムサンプルの微小なCTE変化を膨張プローブを使用して正確に測定した例を示します。アドバンテージソフトウェアを使用して任意の温度範囲におけるポイント、ストレートライン、ベストフィットメソッドでスロープの分析を行い、CTE計算を可能にします。

図2

物質の性能及び選択

図3は歪み温度を決定するためのASTM法E2092に従って、ポリビニルクロライド(PVC)サンプルを3点曲げモード(フレキシュアプローブ)を使用して測定した結果です。このテストはある応力下におけるサンプルの変形する温度を特定します。これは物質の性能を予想する方法として使用されています。

図3

多層フィルム分析

図4に金属基板上に接着されたPE/PETフィルムサンプルの2重層を針入プローブを使用し圧縮モードで測定した結果を示します。昇温条件は5 ℃/分で温度範囲は室温から275℃です。PE層 (93.2 µm)とPET層(14.8 µm)はそれぞれ103 ℃と258 ℃に検出されています。

図4

フィルム特性テスト

この実験で食品のラップフィルムが、なぜ冷蔵庫で役に立たなくなるかを説明することが出来ます。サンプルは、始めに室温で全長の20%まで引っ張られます。5分後に冷却が開始し-50 ℃まで下がり、そこで5分間一定温度に保たれます。そして5 ℃/分で75℃まで昇温します。データはフィルムを引っ張る応力の変化を示しています。

図5

フィルム引っ張りテスト

図6は引っ張りモードにおけるフィルムの一定温度での応力変化に対する伸び測定の結果です。広範囲にわたって応力と伸びは直線関係にあります。これにより引っ張りモジュラスを決定することが出来ます。モジュラスは応力、歪み、時間、温度を関数としてプロットすることが出来ます。この結果はQ400EM型はフィルムやファイバーのミニ引っ張りテスター機能も有することを表しています。

図6

フィアバーストレス/ストレイン測定

ストレス/ストレイン測定は物質評価や比較をする目的で一般的に使用されています。図7に引っ張りモードでのポリアミドファイバー(25 _m)のストレス/ストレイン関係を示します。これは一定温度、応力変化テストで得られます。ファイバーの変形状態は遅れ、リニアーストレス/ストレイン、イールドエロンゲーションを表しています。又、他のパラメーター(イールドストレス、ヤング率)も決定することが可能です。

図7

ファイバーのサーマルストレス分析

図8にポレオレフィンファイバーの新しいものと古いものを分析するために一定歪み(1%)における昇温測定をした結果を示します。プロットは温度を関数として歪みを一定に保つために必要な応力を示しています。このデータから収縮応力、引っ張り温度、引っ張り率、エロンゲーション情報、結び強度等が得られます。

図8

クリープ分析

図9にポリエチレンフィルムの室温におけるクリープテスト結果を示します。データは応力下における変形の遅れ、リニアー領域、そして応力を外した時のリカバリーを表しています。

図9

応力緩和分析

図10に図9のクリープテストに使用されたサンプルと同じポリロレフィンフィルムの引っ張りにおける応力緩和テスト結果を示します。一定の歪みをフィルムに与えた時の応力変化を測定します。プロットは応力緩和モジュラスの減衰を表しています。

図10

粘弾性特性測定

ダイナミックTMA
図11は準結晶ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムをリニアー昇温下で一定周波数応力を与えてダイナミック測定を行った結果を示します。結果として物質の粘弾性特性(E’, E’’及びタンデルタ)が得られます。プロットは大きなモジュラスの変化が検出されており、これがフィルムのガラス転移を表しています。

図11

重複転移の分離

モジュレイテッドTMA
図12にプリント基板(PCB)のTgを検出するためのMTMA測定結果を示します。プロットはトータル寸法変化とリバーシング及びノンリバーシング成分を表します。トータルシグナルはスタンダードTMAで得られる結果と同じです。しかしここでは真の膨張状態を表すリバーシングシグナルと応力緩和を表すノンリバーシングシグナルもプロットされています。この結果からこのサンプルの真のTg点を検出することが出来ます。

図12